(※本記事は旧ブログに2020年4月に掲載したものを再掲しています。)
ナマステ、インド在住のKome(@chankomeppy)です。
ロックダウン中のインドでは3月22日から全ての国際線旅客機が、3月25日から全ての国内線旅客機が運航を停止している。
ロックダウン直後から4月8日にかけて、日航(JAL)と全日空(ANA)がデリーから臨時便を運航し(日本政府のチャーターフライトではない)、デリー及びその近郊に住む多くの日本人が日本へ帰国した。
他の大都市に住む日本人からも臨時便を望む声があがり、日航がバンガロールから3便、全日空がムンバイから3便、チェンナイから3便、臨時便を運航。私も4月15日の臨時便でムンバイから日本に帰国した(現在自主待機中)。
臨時便で帰国するのは最初で最後になると思うので、帰国してから1週間も経ってしまったが、その時の様子をまとめてみることにした。
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ムンバイ空港までの道路の様子
ロックダウン中は食料品の買い出しのために自宅の半径1キロメートル以内を出歩くことはあったが、それ以上先に出たことがなかったので、自宅付近以外の街の様子を初めて見た。
高速道路に出ると、生活必需品を運ぶトラックや、エッセンシャルワークに従事する人達を乗せているであろう乗用車(フロントガラスに「Bank Duty」というような紙が貼ってあるので判別可能)くらいしか走っておらず、これまでのムンバイ生活において、日中にこんなに道路が空いていることは初めて。
私の自宅からムンバイ空港までの距離は約9キロ。
通常時は交通量が多く慢性的な渋滞が発生しているために、たった9キロを移動するのに平均して1時間~1時間半程度を要する。
ムンバイは世界で最も交通渋滞がひどい都市のひとつだ。オランダの位置情報テクノロジー企業トムトム社が発表する「世界で最も渋滞がひどい都市ランキング(2019 TomTom Traffic Index)」において2018年には1位、2019年には4位にランクインしている。
しかしロックダウンで道路がガラガラになっているため、自宅から空港に15分で到着した。
空港までの道のりはスイスイ。
ムンバイ空港内の様子
空港に到着。臨時便に乗る日本人以外に誰もいないのが不思議な感じ。
▼まず、空港内に入る前にこちらの用紙を記入。
健康福祉省に提出するフォームで、個人情報やインドでの住所や連絡先、熱や咳などの症状があるかどうかについて記入する。
記入後は入口でパスポートの確認、体温検査がある。空港側は航空会社から乗客リストをもらっており、パスポートの氏名が乗客リストにあるかどうか確認をしていた。
空港内に入ると、先ほど記入したフォームを2枚係員に提出し、チェックイン。
チェックインカウンターは通常、出発時刻の3時間前に開くが、今回は4時間前から開いていた。私は4時間前にチェックインを済ませたが、すでにこんなにたくさんの人が空港に到着していた。
チェックインのオペレーションで通常と異なったのは、預入荷物は手作業で運ぶということ。
通常、チェックイン時に預入荷物を手渡すと、後ろ側にあるベルトコンベアーで自動的に運ばれていく。しかし、空港内の設備は限定的にしか動いておらず、ベルトコンベアーも動いていなかった。
そのため、X線スキャンのところまで自分で荷物を持っていき、空港職員がカートを使って手作業で運ぶというオペレーションとなっていた。
手荷物のセキュリティ検査は、ビジネス・ファーストクラスの乗客向けの場所(※)で実施。臨時便で人数も限られているため、エコノミークラスの乗客向けの広~い場所でやる必要がないのよね。
※インドの空港では、ビジネス・ファーストクラスの乗客専用のセキュリティ、イミグレがあるよ。
一応ソーシャルディスタンシングをとるための線も引いてあった。
空港内はエアコンがほぼ効いておらず、必要最低限の電気しかついていなかったため、蒸し暑く薄暗くて、快適とはいえない状況であった。
ラウンジはもちろん、フードコートや免税店は、当然閉鎖しており、搭乗するまでの時間が実際の時間よりも長く感じられた。
灼熱の孤独・・・w
窓からこの日に乗る飛行機を眺めていると、奥にデルタの飛行機、手前にエアインディアの飛行機があった。
空港内で出会ったアメリカ人によると、アメリカ政府がインドに取り残されたアメリカ国民向けにムンバイからアトランタまでのチャーターフライトを何便か手配しており、ムンバイ以外にいる人達も国内線のチャーターフライトでムンバイまでやって来たとのこと。
私が話した方はアメリカ政府がチャーターしたエアインディア機でゴアからムンバイにやって来たという。運賃はゴア→ムンバイが500USドル(約5万円強)、ムンバイ→アトランタが2000USドル(約20万円強)とのこと。
私が乗ったの臨時便にも、ゴアやアーメダバードに住む日本人が乗っていたが、彼らは陸路で10時間以上かけてムンバイまでやってきている。これが政府がチャーターするか、民間航空会社が独自で運航するかの違いなのだろうか。
いざ搭乗
ほぼ予定通りの時間に搭乗開始。
ソーシャルディスタンシングを誰も意識していない。空港内には、臨時便に乗る私たちとアメリカ政府のチャーター機に乗る乗客たちしかいなかったので、もっと広々とスペースを使えたと思うのだがね。
機内サービスなど
機内では通常通りサービスが行われ、アルコールの提供もあった。
機内食は鶏肉(和食)か魚(洋食)か選ぶことができ、私はお魚をチョイス。写真は撮影し忘れた。
通常と同じく、出発後に夕食が提供され、到着2時間前くらいに朝食としてボックスミールが提供された。
機内で配布されたフォームなど
機内では以下の用紙やフォームが配られた。
- 厚生労働省ライン登録のお願い
- 質問票
- 検疫所よりお知らせ
・・・厚生労働省の帰国者フォローアップ用のラインの登録方法についての説明。
・・・過去14日間以内の危険国・地域への滞在歴や日本での連絡先について記入し、検疫に提出。
・・・自主待機場所を記入し、検疫に提出。
①の厚生労働省のラインについては、友達追加直後に以下のアンケートに答えただけで終了😅 毎日連絡が来たりするのかと思いきやこれだけ~?💦 形式上すぎる💦
到着後の検疫
インドはPCR検査の対象国外のため、検疫に必要書類を提出するだけだ。
検疫待ちの列はぎゅうぎゅう、よろしくない状況が作られていた。
成田空港に到着した4月16日時点で、インドのコロナ陽性者数は1万人を超えており、PCR検査の対象となっている他のアジア諸国よりもコロナ陽性ケースが多かったのだが、4月1日以降に水際対策が強化されることはなかった。海外からの帰国者によるコロナの持ち込みよりも、市中感染の拡大の方がより深刻となっていることから、帰国者対策はこれ以上厳しくならないようにも思う・・・。
検疫では、機内で配布されたフォームに加え、以下の要請書に署名したものを提出。
帰国後にすべきこと(14日間の自主待機、公共交通機関を使用しないこと、毎日体温を確認すること、等)や、帰国後に症状が出た場合はどうすべきか、についての説明で、検疫提出用と、本人控えの2枚セットなのだが、本人控え分も検疫の人に持っていかれるという謎。
検疫では、上の画像の赤線で囲ったサーモグラフィーの体温確認のみ。本当にこれだけで大丈夫なのだろうか・・・という気持ちでいっぱいだった。
ホテルへ移動
預入荷物を受け取り、到着フロアへ。キャンセルで埋め尽くされた到着案内板を見て悲しくなる。こんなの生まれて初めて見たよ。
海外からの帰国者は公共交通機関が使えないため、事前に手配していた車でホテルまで移動。
さいごに
さいごに、ロックダウン中のインドから日本に帰ってきてびびること。
- マスクをしていない人がチラホラいる。
・・・「マスクが買えないから」と言い訳をしている人がいるが、ハンカチマスクとか、布マスクとか、スカーフとか、代替品はあるよね。「耳が痛いから」と言ってマスクを付けない人もいるだなんて・・・。 - 全然外出自粛してない!?
・・・街や行楽地への外出は減っている分、近場の商店街などへの外出が増えているそうだ。生活必需品の買い物以外で、不要不急の外出をする人達は危機感がないのだろうか。 - 何でも手に入る。
・・・インドでは買えなかったお酒やタバコはコンビニで入手可能、アマゾンの配送もきちんと動いていて、便利すぎる。
生活に支障をきたす厳しいロックダウン中のインド、ゆるくて便利だけど危機感も低い日本、どちらがいいか悪いかはわからないが、インドでも日本でも言えることは外出しないこと。Stay home。とことん引きこもろう。
早くコロナが収束してインドに帰れますように...