(※本記事は旧ブログに2020年5月に掲載したものを再掲しています。)
ナマステ、インド在住のKome(@chankomeppy)です。
日本に長期一時帰国して色々思うことはあるが、日本のトイレは綺麗で機能的で清潔だよなぁ~としみじみ感じる。日本のトイレは、間違いなく世界で最も清潔で機能的だ。
それに対して、インドのトイレはどうだろうか?
インドのトイレには「汚さそう」「臭そう」「屋外排泄」というような固定概念が付きまとっており、ポジティブなイメージを抱く人はほとんどいないだろう。
というわけで、今回はインドのトイレ事情について振り返ってみようと思う。
難易度別にまとめます😂
▼目次はこちら (クリックして表示)
難易度:★☆☆☆☆
世界最高レベルのトイレに慣れている日本人にとっても、抵抗なく使えるトイレ。
高級洋式トイレ
大都市の5つ星ホテル、超高級レストラン、ハイブランドが入居する高級ショッピングモールなどの富裕層が訪れる場所
高級洋式トイレは、用を足すためのツールではなく、インテリアとしての要素も兼ね備えている。TOTOやAmerican Standard製の最高級モデルで、トイレ空間全体にはお花やアロマのいい匂いが広がっている。
電動ウォシュレットや暖房便座は非常にまれだが、日本人向けの日本食レストランなどに設置されていることがある。
ウォシュレットはないが「ハンドシャワー」が備え付けられているので、それでお尻を洗えば問題ない。
清掃員が常駐しており清掃頻度が非常に高い。
誰かが個室を使うたびに清掃されるのでトイレは非常に清潔に保たれており、もしかしたら日本のトイレよりも清潔かもしれない。
難易度:★★☆☆☆
人によっては抵抗感を抱く可能性があるトイレ。
一般的な洋式トイレ
大都市:空港、お酒が出るレストラン、中流階級以上が使うショッピングモール、外資系のお店(マクドナルドやスタバ等)
地方:高級ホテル、高級レストラン、ショッピングモール 等々・・・
平成初期の日本のトイレのような感じ。
トイレットペーパーは備え付けられているが、向きがおかしいことがある。(←清掃員が普段トイペを使わない生活をしているため、正しいペーパーの向きを知らないのだと思われる)
手洗い場が水浸しになっている確率が高いので、かばん等をうっかり置いてしまわないように気を付けたい。
ハンドシャワーがまき散らされて、便座と床が水浸しになっていることがある。
このレベルのトイレが設置されている場所には、便座にうっかりしゃがみ込んでしまう人たちは出入りしないので、便座が泥で汚れていることはほとんどない。しかし、親が子供を便器の上にしゃがみ込ませようとしているのを目撃したことがある。そのため、気になる人は便座からお尻を浮かせて中腰で用を足すとよいだろう。
場所によっては、トイレの配管が狭い、又は古いためにトイレットペーパーを流せないことがある。その場合は個室の脇に設置されているゴミ箱にトイレットペーパーを捨てることになるが、ゴミ箱からのにおいがキニナルことは否めない。
難易度:★★★☆☆
できれば使いたくない、抵抗感のあるトイレ。バックパッカー的には全然余裕のレベル。
しょぼい洋式トイレ
大都市:屋外施設(競馬場やクリケット競技場など)、観光施設、庶民向けレストラン
地方:1泊1000ルピー前後の安ホテル、空港、レストラン
その他:鉄道駅構内の有料待合室内、鉄道車両 等々・・・
明らかに安い素材でできており、水タンクと便座の蓋は薄いプラスチック製だ。ちゃっちい作りなので、便座や便座の蓋が外れていたり、外れかけていることもしばしば。
トイレットペーパーホルダーはついているが、トイレットペーパーが補充されていることは非常に稀なので、ティッシュ持参必須。安ホテルの場合は、スタッフに言えば質の悪いトイレットペーパーをもらえる。
便座や床は、前の人がハンドシャワーでお尻を洗った水でびしょびしょに濡れている。
しょぼい洋式トイレが設置される場所には、洋式の便座にしゃがみ込んでしまう人が少なからず存在し、便座が泥で汚れていることもある。
「①便座が水浸し」+「②便座に誰かが土足で上がっている可能性がある」ため、便座からお尻を浮かせて中腰で用を足すことが強く推奨される。
そのため、この後に紹介するインド式トイレよりも難易度が高いかもしれない。
アングロ・インディアン・トイレというヘンテコな形のトイレもこのクラスに該当する。
▼こちらもあわせてど~ぞ! indoyuruyuru.com
インド式トイレ
大都市:観光施設、ローカル食堂など
地方:観光施設、食堂、ホームステイ先
その他:鉄道駅構内、鉄道車両 等々・・・
日本の和式トイレのようにしゃがみ込んで用を足すスタイルなので、欧米人に比べれば私たち日本人には馴染み深い存在。
和式とインド式は便器にしゃがみ込むという動作は同じだが、しゃがみ込む向きが異なる。和式では扉の方にお尻を向けるが、インド式では扉の方に体の正面を向ける。便器の穴の上にお尻が来るようにしゃがみ込めばOK。
なぜそうするかというと、水の勢いが日本のように強くないからだ。小の場合は問題ないが、大の場合は穴から遠いところに落下した場合に穴の中にブツが流れていかない可能性がある。最悪の場合、配管が壊れていて水が出ないケースもありうる。
違和感があるとは思うが、郷に入らば郷にしたがえ、穴の上にお尻が来るように、正しいポジショニングを心掛けたい。
水洗インド式トイレ
大都市の観光地や駅で遭遇するインド式トイレは水洗タイプが多いように個人的に感じる。
便器の周りに前の人の尿が飛び散っていて、それを踏んだ人の靴底の汚れがトイレ内のあちこちにあるので、ワイドパンツを履いている場合はかなり慎重にならなければいけない。
ごく稀にトイレットペーパーがあるが、基本的には左手でお尻を洗うことを前提としているためティッシュ持参必須。
個室の端にはティッシュを捨てるためのゴミ箱が設置されていることが多く、その場合は個室にアンモニア臭がこもっている。
伝統的インド式トイレ
地方部では、伝統的インド式トイレに出くわすことが多い。
左手でお尻を洗うことが大前提なので、トイレットペーパはもちろん備え付けられていないし、ティッシュを捨てるためのゴミ箱も設置されていない。
そのため、ティッシュだけでなくゴミ袋も持参必須。(左手を使う場合は不要)
トイレの壁に蛇口がついており、その下にバケツと手桶が設置されている。右手で水の入った手桶を持ち、水をお尻にかけて左手でお尻を洗う。
使用後は手桶またはバケツに水を汲んで自分で流す。そのため床が水浸しになっている。
↓こちらの動画が非常にわかりやすい。
「手でお尻を洗う」
「床が水浸し」
一見汚いように思うかもしれないが、発想を転換すれば、
- ティッシュを捨てるためのゴミ箱がないので、ゴミ箱からアンモニア臭が漂うことはない
- 床が水浸しになるということは、便器周辺に飛び散った尿なども洗い流される
👉水洗式よりも清潔!!!?
田舎の方では節水のために小便程度では水を流さない習慣を持つ人もいることを忘れてはいけないが・・・😂
個人的には、しょぼい洋式トイレや水洗インド式トイレよりも、伝統的なインド式トイレの方が安心感がある(個人の感想です)。
お食事中の方いたらスイマセンですが、トイレのドアを開けたら久しぶりにこのタイプのトイレで、「おおっ」と思わず声が出た。
— 𝗖ʰᵃⁿ𝗞ᵒᵐᵉ (@chankomeppy) November 4, 2021
中途半端な洋式よりも、とてもとてもとても清潔なのであります。 pic.twitter.com/JwGLGZpSbm
鉄道車両のトイレ
インド国鉄車両のトイレは、和式と洋式の2種類が設置されており、水洗でも汲み取り式でもなく、線路に垂れ流すスタイル。用を足したあとは水を流して便器を綺麗にする。
垂れ流しなのでニオイがこもることもなく、意外と清潔に保たれている。
難易度:★★★★☆
普通にハード。緊急時以外は使いたくない。
公衆トイレ
大都市・地方都市の街中
インド式トイレなのだが、公衆トイレはニオイがすごいので難易度を高めた。公衆トイレの中に入らなくても、その周辺がすでに臭い。
男性の小便用の公衆トイレの場合、地方都市では下の写真のように開放的なものもよく見かける。
公衆トイレは基本的に有料で、使用料は2ルピー~5ルピー程度。有料ならきちんと掃除してほしい
とは言え、有料の公衆トイレはまだマシ。掃除が行き届いておらずきつい臭いを放ってはいるものの、水は流れるし、トイレとして正常に機能している。
問題は都会以外の公衆トイレだ。電気がつかず、光は窓からの太陽光のみということも。普通に怖い。
きちんと整備されておらずにトイレが詰まっていることもある。その場合嗅覚だけでなく視覚的なダメージも大きい。
▼田舎の方ではこのように非常に簡易的なトイレも少なくない。
難易度:★★★★★
もはやトイレではない。
屋外排泄
都会のスラムや農村部
インドでは多くの人が屋外で用を足している。ユニセフの調査によるとインドの屋外排泄人口は5億人以上、世界全体の6割を占めている。
大都市のスラムには共用のトイレもあるが、川付近で屋外排泄するのも一般的。(そしてその川の水で洗濯もする・・・)
農村部では、モディ政権が「屋外排泄ゼロ」を目指してスワチ・バーラト(クリーン・インディア)プロジェクトを通じて大量のトイレを設置したが、ほとんど使われておらず屋外排泄がなくならない。
その背景にはヒンドゥー教の教えがある。排泄物を流した水は不浄であり、家から離れたところで用を足すべきとされてきた。「ヴィシュヌ・プラーナ」というヒンドゥー教の古い聖典には、❝用を足したくなったら家から弓を放ち、弓が地面に落ちた場所よりも遠くで用を足すのがよい❞ という記述があるそうだ。
これに加えて、排泄物の処理を誰もしたがらないために、そのまま使われなくなるというケースもある。
外国人が屋外排泄しなければいけない状況に直面することはほとんど考えられない。唯一考えられるとすれば、田舎を長距離移動中にやむを得ず・・・。漏らすよりはマシだ。
例外として、
極貧バックパッカーの場合は、安いバスで長距離移動をすると、トイレ休憩時にオープンエアーで用を足さなければいけない可能性がある。
またチベットの村々を訪れる場合も、高山病対策で大量の水を飲むのでトイレが近くなるが、トイレが少ないので岩陰で用を足さなければいけない事態に陥りやすい。
番外編:ドライトイレ
ヒマラヤ付近(レー・ラダックやスピティ地方)
ヒマラヤ山脈のふもとにある村では、ドライトイレ(水を使わないトイレ)が使われている。この地域は冬になると気温は常にマイナス10℃以下になり水が凍ってしまうためだ。
穴の中に用を足し、使用後は穴の中に牛糞と灰を混ぜた泥をショベルですくって入れる。糞尿は肥料となるため、非常にエコなトイレである。
さいごに
インドで生活する上では、自宅、職場、モール、レストランのトイレくらいしか使用しないので、ティッシュさえ持っていればなんとかなる。よほど潔癖症でない限り、精神的な苦痛を強いられることはないだろう。
インド旅行の場合は、観光地のトイレが汚れている可能性はあるが、東南アジアや中国・韓国の公共トイレに耐えられるのであれば問題ないレベルだ。下に記載したインド旅行にあると便利なトイレグッズを準備しておけば、そこまで不快に思うまい。
インドのトイレが「汚さそう」「臭そう」というイメージはすべてのトイレに当てはまるわけではない。普通に生活していればそういうハードなトイレに出くわす機会は全然なく、観光地のトイレもインドだけが特別に汚いわけではなく、東南アジア諸国や他の新興国と比べれば平均的なレベルだ。インドのトイレに対してそこまでネガティブな印象を持たなくてもいいのかなぁと思う。
てか、そういうネガティブな印象ってほんと固定概念の塊だと思います😅
インドのトイレを使う上で気を付けること
さいごに、これまでの経験を元に、インドのトイレを使う上で見逃しがちだけど非常に重要なことを紹介する。
- 高級洋式トイレを除くすべてのトイレには、
荷物を置く場所や、かばんを吊るすフックがついていない!!!
旅行の際はリュック又はショルダーバッグでないとツラい。 - しょぼい洋式トイレとインド式トイレには、
洗面所に石鹸がない 又は固形石鹸!!!
液体石鹸がおいてあるのは、そこそこいいトイレのみ。
ローカルレストランの手洗い場に置いてある固形石鹸は黄ばんでたり、黒ずんでいたり・・・使うのを躊躇うような状態になっていることも。
インド旅行にあると便利なトイレグッズ
気になる方は、こういうのがあると便利かもしれないですね。
携帯ウォシュレット
ウォシュレット信者向け。観光地のトイレにあるハンドシャワー(ウォシュレットの代替品)は清潔とは言い難い。(シャワーヘッドの掃除は何年もしてなさそう)
水に流せるティッシュ
観光地のトイレにはトイレットペーパーが備え付けられていないことが多い。
紙せっけん
石鹸がない、又は固形石鹸のため、紙石鹸があると便利!