(※本記事は旧ブログに2021年6月に掲載したものを再掲しています。)
ナマステ、インド在住のKome(@chankomeppy)です。
インド国内で転職をしたため、就労ビザの手続きのために日本に一時帰国している、ナウ。
全世界でコロナが流行し始めた1年前にもインドから一時帰国したが、その時はいとも簡単に入国できてしまい「これで大丈夫なのか?」と逆に心配になった。
それから1年、入国するまでの手順が難しくなっていたので備忘録も兼ねてまとめる。特にインドからの入国はこの1か月で大きくルールが変わったので。
ちなみに成田空港利用です。
▼目次はこちら (クリックして表示)
インドから日本入国時の水際対策の強化
- ~4月30日: 帰国後14日間の隔離
- 5月01日~: 帰国後3日間強制隔離
- 5月07日~: 帰国後6日間強制隔離
- 5月14日~: 日本人以外入国禁止
- 5月28日~: 帰国後は10日間強制隔離
私の住むインドでは強い感染力を持つとされる二重変異株(B.1.617)が初めて確認され、4月から5月半ばごろにかけて第2波が猛威を振るっていた。
2021年4月までは、インドから日本へ入国する際、帰国後14日間の自主隔離が要請されるのみであった。
4月以降インド国内で爆発的に新規感染が拡大すると、4月後半には1日の新規感染者数が30万人を超え、コロナ患者向け病床や医療用酸素不足が非常に深刻な状況になった。邦人の死者も出たこともあり日本のマスメディアでもインドのコロナ第2波について連日報道がされていた。
一部の日系企業が駐在員を一次退避させ始めるも
「二重変異ウイルスが流行しているインドからの帰国者を制限なく日本に入国させているのか!」
「水際対策とは一体…!」
「インドからは入国禁止にしろ!」
といった批判的な意見が目に付くようになり、インドからの帰国者はウイルスのような扱いを受ける。批判の矛先が在印邦人に向けられるのはちょっと違うよね。対応が遅い国を批判してくれ。
4月末にようやく、インドは「変異株流行国」に指定され、5月1日以降の入国から帰国後3日間は指定された宿泊施設にて待機(=強制隔離・軟禁)することとなった。(4月28日発表)
5月2日、外務省から一時帰国を推奨する注意喚起が出され、インドから一時退避する邦人が急増。この時、1日の新規感染者数は40万人を超える日もあり、友人・知人が続々と帰国していった。
(参考: インド滞在中の皆様への注意喚起(インド国内の医療提供体制のひっ迫|外務省海外安全ホームページ)
インドでの感染拡大は止まらず、5月10日以降の入国から帰国後の指定宿泊施設での待期期間が6日間に延長。(5月7日発表)
さらに5月14日以降の入国からは、インド・パキスタン・ネパールに滞在歴のある在留資格保持者(日本に滞在するための資格を持った外国人)は特段の事情(永住者や定住者、日本人の配偶者等)を除いて再入国を認めないとし、インドから日本人以外は入国できなくなった。(5月12日発表)
この頃には、私の住むムンバイの新規感染者数・アクティブ感染者数は完全に減少トレンドに転じており、町も徐々にロックダウン前に戻りつつあった。5月の半ばにはインド全体で見てもピークの山は越えた感があったが、現地のリアルな状況はすぐには反映されないようで、5月28日以降の入国から帰国後の指定宿泊施設での待期期間が10日間に延長。(5月25日発表)
漂う今更感。
とは言え、インドからの帰国者は ❝風評被害❞ もあるので、個人的には、待期期間を延長するなら10日間ではなく14日間フルまで延長して欲しかったな。
ホテルの部屋数の都合上、現時点では「10日間」が何とか調整できる最長期間なのだろう。政府は変異株流行国からの帰国者数に制限を設けており、インドからの帰国便は1便あたり乗客100人以下、1週間で133人以下とするように航空会社に要請しているらしい。(ソース)
ちなみに、変異株流行国に指定されているのは主に欧米諸国で、3日間ホテルで待機(という名の軟禁)となる。
👉記事執筆時点での最新の変異株流行国一覧はこちら
インドで初めて確認された変異株B.1.617 指定国・地域にはインドおよび周辺の国々(スリランカ、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、モルディブ、アフガニスタン)のほか、欧米主要国の一部、タイ、マレーシア、ベトナムが指定されている。インドとその周辺国からの入国時は10日間、マレーシアとベトナムからの入国時は6日間、英米仏独泰などその他の指定国からの帰国時は3日間待機しなけれないけない。
👉記事執筆時点での最新の1.617 指定国・地域一覧はこちら
10日間軟禁される
私は4月の半ばには一時帰国日を決めていた。コロナ第2波による一時退避ではなくビザの手続きのための帰国であることは先に述べた通りである。当初の予定では帰国後は14日間の自主隔離のハズだったのだが、水際対策がどんどん厳しくなり…
私の入国日は5月28日。つまり、
私が入国した日から「10日間軟禁」が運用開始となった。
タイミングがなんとも・・・😅
帰国前の準備
- 自主隔離場所の確保
- 有効な検査証明書(PCR検査等の陰性証明書)の入手
自主隔離場所の確保
海外からの帰国者は14日間は公共交通機関(飛行機を含む)を利用できない。空港から車で移動可能な場所に自宅があれば自宅を自主隔離場所とできるが、私の実家は北海道にあるため不可。関東に隔離場所を確保しなくてはいけなかった。
当初、14日間の隔離用に一時帰国者向けウィークリーマンションを予約していた。これは自己都合でなければ(=入国前後のPCR・抗原検査で陽性となった場合など)変更・キャンセルが無料で、成田空港から宿泊施設までの送迎付きのプランである。
14日間フルで自主隔離の場合、成田空港周辺ホテルの自主隔離向けプラン※1と成田空港からの送迎付ウィークリーマンションの料金はほとんど変わらずどちらも10万円前後。
※1: 成田空港周辺ホテル帰国後の隔離目的で滞在する場合、通常とは異なる料金プランが適用となる。成田駅前のアパホテルは1泊6,000円~8,000円だった。(通常料金は5,000円程度)
羽田空港着であれば、宿泊施設の選択肢が豊富で検疫所の無料シャトルバスも利用できる。ハイヤーを利用したとしても成田空港から移動するよりは安く済む。羽田か成田かを選べるのであれば「羽田空港」を利用した方が入国に係るコストは抑えられる。
水際対策が強化されるたびにチェックイン日を何度も変更し、もともと15泊16日だった滞在日数は、最終的には5泊6日にまで短縮された。ここまで滞在日数が短くなってしまうとウィークリーマンション+空港送迎のうまみがなくなり寧ろ割高となったのでキャンセルし、Airbnbで空港送迎に対応してくれる宿を手配し直した。
指定宿泊施設での待機(軟禁)が10日に延長されると発表されたのが出発の2日前。出発直前になって宿を手配し直すことになろうとは思いもしなかったよ。
有効な検査証明書
現在手ぶらでは日本に帰国することはできない※2。
2021年3月19日以降、有効な検査証明書を掲示しなければ日本への上陸を拒否されることとなり、さらに4月19日以降は検査証明書が厳格化され、厚生労働省が指定するフォーマットに記入されたもの(それを用意できない場合は厚生省が定めた項目を完全に網羅するレポート)を提出しなければいけなくなった。※3
※2: 3月18日までは手ぶらでも日本に帰国可能だったらしい。陰性証明書未所持の場合でも指定ホテルに何日間か滞在すればよかったそうな… ユルいな、日本。
※3: 出発72時間以内に実施したコロナウイルスに関する検査の陰性証明書のこと。検査方法、検体採取方法などの全ての条件を満たしていないと、検査結果が陰性でも「無効」として扱われる。検査方法は色々指定されているがPCR検査を受けるのが一般的。
出発72時間以内に検査し、検査結果を独自フォーマットに記入し、出発までに受取るという作業は、海外において簡単ではない。対応してくれる病院やクリニック、医者を個別で探さなければならず、私はかかりつけの内科医に個別に依頼した。
インドはPCR検査は600ルピー程度(≒約900円)と非常に安価であるが、他国では1万円以上することもザラで一種のビジネスと化している。うん万円もする検査であってもその精度は70%程度といわれており、仮に偽陽性であったとしても「陽性」と出てしまえば、航空券・自主隔離の宿泊施設などすべてがパァになってしまう。日本に帰国するためには運も味方に付けなければいけない。
そのため、検査結果が「陰性」と出たときはホっとした。
インドを出発
空港にて
空港で手続きに時間がかかるのではないかと思っていつもより早く出発しようとしていたが、「みんな考えることは同じで、早く行ったらチェックインカウンターに長蛇の列ができていた!!もっと遅く行けばよかった!!」という声を聞いたので、早く着きすぎないように家を出た。
空港までの道路はスムーズで、通常時の所要時間は1時間ほどかかるが、20分程度で到着した。名目上ではあるが、一応ロックダウン中である。
1年前の一時帰国時には、空港に入るときに個人情報と健康状態を記入したフォーマットを提出しなければいけなかったが、そのようなフォーマットはすでに廃止されており、いつも通りパスポートと航空券eチケットを入口で提示して空港内へ。
出発時間の2時間前にチェックインカウンターに着き、陰性証明書の確認をしてもらう。ここで不備が見つかった場合は「搭乗拒否」となるのだが、無事通過することができた。
係員の方によると、この日の乗客の中で私が一番最後のチェックインだったそうだ。コロナ下の国際間移動において「出発2時間前に空港に現れる」というのは遅いらしい。
セキュリティ、イミグレを難なく通過し免税店ゾーンへ突入。何も買わんけど。
ラウンジはウエストとイーストの2つがあるが、ウエストのみがオープン。ウエストの方がランクが上の乗客向けなので仰々しい雰囲気がある。
搭乗もスムーズ。5年間住んだムンバイをついに離れるのかと思うと寂しいが、インドから完全に離れるわけではないので、なんとも言えぬ中途半端な寂しさに襲われた。
機内にて
機内で感染したら元も子もないので(インドからの帰国した人の感染状況詳細を見ていると「インドから日本への移動中」に感染したのではないかと思われる人が存在している)そのリスクが低そうなビジネスクラスで帰るよ、うきうき。搭乗したらそこはもう日本。日本人なので日系航空会社がいい。
機内での配布物
機内では以下の書類が配布された。
- 誓約書
- 出国前検査とアプリインストールに関する質問票
- 健康カード
誓約書の主な内容は、入国後14日間は①自宅や宿泊施設など入国時に届け出た住所で自主隔離し、②他社と接触を行わず、③公共交通機関を使用せず、④毎日健康状態を報告し、⑤入国時に指定されたアプリをインストールして位置情報の送信や着信に応じるというもの。誓約に違反した場合は氏名を公表されるそうだ。
質問票は、出国前の検査およびアプリのインストールについての質問、というか同意書的なもの。
健康カードは、過去14日間に疑わしい症状があったか、陽性の患者と接触があったか、変異株が流行している地域に滞在していたかどうかを確認するもので、到着後に空港でハンコのスタンプラリーの台紙として活躍する。
機内でこれらのフォーマットを記入し、ご飯を食べたり映画を見たり寝たりしていたら、あっという間に日本に到着。
ちなみに、これらの配布物とは別にWeb質問票を事前にオンラインで提出してQRコードを生成する必要がある。以前は紙ベースだったようなのだが電子化されたらしい。
(参考:質問票の提出について|厚生労働省ホームページ)
日本に到着
7時15分に着陸し、座席が前の人から順番に降機する。
空港内には東京オリンピックの広告がいたるところで見られ、複雑な気持ちになった。
順路に沿って歩くと番号が付されたパイプ椅子が設置されているので呼ばれるまでそこで待機する。
第1関門: 書類確認
前に座っている人から順番に約10人単位で別部屋に呼ばれる。別部屋では3~4つほど窓口があり、窓口の係員にパスポートと書類一式に不足がないかどうか確認してもらう。
問題なければ健康カードにハンコを押してもらえる。
第2関門: 抗原検査(唾液)
次は抗原検査だ。受付でパスポートと健康カード等を提示し、検査キットを受け取る。区切られたブースで唾液を一定量まで垂れ流す。唾液がでにくい人のために、ブース内には梅干しとレモンの写真が貼られていた。
検査サンプルを提出したら健康カードに検査番号が書かれたバーコードのシールを添付してもらえる。
第3関門: Web質問票
Web質問票をオンライン提出済み者だけが次の関門に進むことができる。
私は事前に提出していなかったため、その場で質問に回答した。私はついうっかり忘れていたが、本来であれば日本到着前に事前に提出するのが望ましいとされている。
質問票提出後に表示されるQRコードを係員に掲示し、次に進む。
ちなみに、このQRコードは再表示できないので、たとえ事前にWeb質問票を提出していたとしても印刷やスクリーンショットの撮影を忘れてしまって「QRコード」を掲示できない場合は、Web質問票を再提出する必要がある。
第4関門: アプリのインストール・設定など
私が入国した5月28日時点において、以下4つのアプリをスマホにインストールすることが求められた。乗客1名(または1グループ)に対して1名の係員がつきっきりで対応する。
ここで係員の人にアプリのインストールと初期設定方法について書かれた冊子をもらうが、A to Zで係員の人が手助けしてくれるので冊子を見る必要がない。
インストールが完了すると、別の窓口でメールアドレスの確認とアプリの位置情報・通知設定を行う。係員が登録メールアドレスにテストメールを送り受信画面を見せることで確認完了となるのだが、テストメール送信アカウントがGmailなのが少し気になるところである。
第5関門: 質問票QRコード読み取り
別の窓口に進み、第3関門で生成した質問票のQRコードをここで読み取ってもらう。
健康カードに貼られた検査番号のバーコードを係員に見せると、待合席番号を発行してもらえる。指定された座席で抗原検査の結果を待つ。
最終関門: 抗原検査結果発表
無事「陰性」を勝ち取った者たちは、係員に検査番号を呼ばれる。待機するホテルごとに、20人くらいがまとめて呼ばれる。
すべての関門を突破し日本入国を認められた我々は「検査結果が陰性だった人」のみが通過を許される窓口にて陰性証明書や誓約書などの書類を提出し、陰性カードをを受け取る。(健康カードは回収されない)
陰性カード受取までの全ての検疫手続きに約2時間を要した。通常時であれば「検疫」の窓口前を一瞬通過するだけである。1秒とかそんなレベル。これを「2時間も」と捉えるか「2時間しか」と捉えるかは人によって違うだろうが、私は「2時間しか」と捉える。抗原検査ではなくPCR検査をしていた時は検査結果が出るまでに何時間もかかったわけですから。
その後は通常通りイミグレ→チェックイン荷物の回収→通関を通過し、到着フロアに出る。
ちなみに、チェックイン荷物がターンテーブルから下されて乗客・グループごとにまとめて置かれていたのには驚いた。
一時帰国とはいえ、5年のムンバイ生活を終了させてきたので荷物が非常に多い。
先日の引越しの際に荷物の整理も同時に行い、今後のインド生活には必要なさそうだが捨てることはできないものがいくつか発掘されたので持ち帰ってきたのだ。例えばピンク色のケースにはボディーボードが入っている。これまではムンバイに住んでいたのでゴアや南インドへ旅行時に持って行っていたが、もういいかな~~~と思ってね。
強制隔離ホテルへ移動
到着フロアに出た私たちは、ホテルへのバスを待機。成田空港第一ターミナル南ウィングにある全日空のアライバルラウンジがバス運行までの待機場所として使われていた。
20分ほど待機しバス乗り場へ移動。一人でカートを押せずに困っていたところ、係員の一人がカートを押すのを手伝うと自ら申し出てくれた。カートを押してもらえるだなんて、まるでインドの空港であるかのようである。
手伝ってくれたのはネーパーリーの女性で、移動中に他の場所に配置されている同僚とネパール語であいさつを交わしていた。
そういえば、コロナ前よりも明らかに外国籍の係員の割合が増えていた。各関門で書類チェックなどの対応をしてくれた係員も外国人が多かったような気がする。臨時職員なのかどうかは分からないが、水際対策を強化するにあたり外国人の労働力を頼りにしているのかなぁと感じた。
ホテルまでのバスは座席はビニールで防護されていた。
私たちは抗原検査が「陰性」で入国を認められてはいるが、3日後・6日後・10日後の検査においても「陰性」かつ隔離生活を完全に終えるまではずっとウイルス扱いされるのだと思い知った。
成田空港着で強制隔離が必要となる場合は、マロウドインターナショナルホテル成田か東横イン成田空港に軟禁されることになる。前者は禁煙のみ、後者は禁煙と喫煙の部屋があるらしい。
喫煙者は東横イン、非喫煙者はどちらになるかはホテルの空き状況などによって異なるようだ。私たちの便は、非喫煙者はマロウドインターナショナルホテル成田に軟禁されることとなった。
前の座席に座っている人から順番に入所の手続きを行い、滞在スケジュールなどについて説明を受ける。
1人用の部屋は21平米あり、全国各地の軟禁ホテルの中では最も広い部屋のひとつなのではないかと思う。
ホテルにはスイートルームもあるようなのだが、家族連れなんかが割り当てられるのだろうかね。そんな中シングルユースで使っている偉いおじさんもいそうな気がしてならない。
10日間部屋から出ることができないにも関わらず、形式上ルームキーが配布されるのは若干草である。形式上のチェックイン日も色々無茶苦茶w
軟禁&隔離生活につづく…
渡航前の準備や日本到着後の検疫手続きの難易度が上がっており、日本に上陸するためには日本人といえどいくつもの関門を突破しなければいけない。
やっとのことで入国できても、14日間の自主隔離。変異ウイルスが流行している国・地域から帰国の場合は3日から10日のホテル軟禁も強いられるほか、変異ウイルスをまき散らす可能性がある危険人物としてみなされる可能性もある。
1年前と比べて日本に帰国するのがこんなに難しくなるとは!!!
(1年前の水際対策がユルすぎてだけなのかもしれない)
というわけで、10日間の軟禁&自主隔離生活に続きますෆ(◕ㅂ◕)ෆ
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