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ムンバイのイラニカフェ巡り ~植民地時代から続く伝統的なカフェ~(中編)

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ムンバイのイラニカフェ巡り ~植民地時代から続く伝統的なカフェ~(中編)

(※本記事は旧ブログに2021年4月に掲載したものを再掲しています。)

ナマステ、インド在住のKome(@chankomeppy)です。

ムンバイに帰ってきたものの、ムンバイはコロナの第二波が来ておりとても旅行なんてできない。

暇だ、暇だ、暇だ~~~!ということで始めたイラニカフェ巡り。

1つの記事に全部まとめようと思ったが、写真と文字が多すぎてページの読み込み速度的に限界となり、前編・中編・後編の3部に分けることにした。(この記事は中編です)

前編の内容
  • イラニカフェについて
  • KYANI CO.
    ・・・1904年創業、ムンバイ最古のイラニカフェ
  • SASSANIAN BOULANGERIE
    ・・・創業100年以上の老舗イラニカフェ
  • KOOLAR & CO.
    ・・・ボリウッド映画の撮影にも使われたイラニカフェ
  • CAFE IRANI CHAII
    ・・・ムンバイで最も新しい2015年創業のイラニカフェ
  • IDEAL CORNER
    ・・・パルシー料理・軽食を提供するレストラン
  • CAFE EXCELSIOR
    ・・・コロニアルな建物にあるイラニカフェ

中編を読む前に、前編もあわせてお読みいただければ嬉しいです!

▼前編はこちら indoyuruyuru.com

では中編の、はじまり、はじまり~~~☕💓

▼目次はこちら (クリックして表示)

CAFE COLONY カフェコロニー

CAFE COLONYの外観

(訪問日:2021年3月20日)

1933年創業の老舗イラニカフェ。

もともとパルシーやイランからの移住者はムンバイ南部に集中して住んでいたためイラニカフェも南部に多いのだが、カフェコロニーはDadarダーダルという地域にある。

1900年ごろ、ムンバイ初となる計画的住宅街がダーダルに整備された。この住宅街はパルシー向けであり100年以上たった今も多くのパルシーがこの地域で生活している。パルシーの住宅街はパルシーコロニーと呼ばれ、ゴシック様式やアールヌーボー様式の建物が建ち並んでいる。かつてはパルシー向けのレストランやイラニカフェ、お店がたくさんあったというが、そのほとんどは廃業してしまったそうだ。

そんな中、カフェコロニーは今もダーダルのパルシーコロニーで営業を続ける数少ないイラニカフェの一つ。唯一ではなく「数少ない」としたのは、前編で紹介したKOOLER &Co.もダーダルのパルシーコロニーの近くにあるため。

▼カフェコロニーの場所

▼店内の様子
CAFE COLONY 店内の様子①

カウンターにいる白髪のおじいさんがオーナーで、イランから移住後にこのお店を開いた。オーナーの息子・娘たち(40~50代)も後継者としてカフェの経営に携わっているのでしばらくの間は廃業とは無縁だろう。

CAFE COLONY 店内の様子②

一見普通のローカル食堂のようにも見えるが、イラニカフェによくある食器棚や木製の椅子、床のタイルなど、やはりここはイラニカフェである。

▼メニュー
CAFE COLONYのメニュー

メニューもゴリゴリのIRANI!!!なにを注文しようか迷う。

▼チキンシャーミーカバーブとバン、ラズベリーソーダ
シャーミーカバーブとバン、ラズベリーソーダ

迷った挙句、Chicken Shami Kababu(チキンシャーミーカバーブ)を注文。(80ルピー)

一緒にイラニパルシーのパン、Bun(バン)も注文。(10ルピー)

イラニ感を出したくてRaspberry Soda(ラズベリーソーダ)もいただいた。(25ルピー)

イラニカフェでガイコクジンがラズベリーソーダを頼むと「お?よく知ってるねぇ~」的な顔をされる。

シャーミーカバーブ

シャーミーカバーブとは、日本語訳すると「シリアのケバブ」という意味。イランの料理というよりペルシャ料理といった方が正しいのでしょう、ムスリム料理として目にする機会のほうが多いような気がする。

ひき肉と豆を練ってや焼いたもので見た目はハンバーグのようであるが、メインではなくサイドディッシュとして食べられる。

▼マライチャーイとキャラメルカスタード
マライチャーイとキャラメルカスタード

食後は、Tea with Malai(マライチャーイ)(30ルピー)とCaramel Castard(キャラメルカスタード)(40ルピー)をば🍮

マライとは、牛乳を沸騰させたときに表面にできる膜のこと。この膜が激熱で舌をやけどしてしまった~ とほほ。

帰り際、パルシーコロニーを探索した。コロニーのすぐ近くにはハンセン病患者の治療施設がある。

ハンセン病患者の治療施設①
ハンセン病患者の治療施設②
ハンセン病患者の治療施設

今はコロナの影響で施設内には立ち入り禁止だが、通常時はお菓子などの寄付を受け付けており、患者さんに直接手渡しも可能。

CAFE COLONYの最寄り駅: DADAR Station①
CAFE COLONYの最寄り駅: DADAR Station②

最寄り駅はウエスタン&セントラルラインのダーダル駅。カフェコロニーまでは駅から歩いて10分程度。

LUCKY RESTAURANT ラッキーレストラン

LUCKY RESTAURANT

(訪問日:2021年3月21日)

1938年創業。創業当初はイラニカフェであったそうだが、現在は業態を変えてレストランとして営業しており、マトンビリヤニが超有名な人気レストランである。

イラニカフェは19世紀にイランからインドに移住してきたゾロアスター教徒たちによって開かれたと前編で説明したが、当時イランからインドに移住してきたのはゾロアスター教徒だけではない。同じ時期に多くのシーア派ムスリムもインドに移住し、彼らもまたムンバイでカフェやレストランを営んでいた。

ここラッキーレストランの創業者はまさに、イランのヤズド出身のシーア派ムスリム。ラッキーレストランのようなイラン出身シーア派ムスリムが経営するカフェやレストランはバンドラに点在する。(かつてバンドラにパルシーコロニーがあったため)

▼ラッキーレストランの場所

▼店内の様子
LUCKY RESTAURANTの店内①
LUCKY RESTAURANTの店内②

インテリアは見ての通りイラニカフェそのもの―――!

壁や柱の四方に鏡が取り付けられ、木製の椅子も使用されている。ボックス席もあってなんかいい感じ。

この素敵イラニ空間とは別にエアコン付きの部屋もあるのだがそこは味気ない。

LUCKY RESTAURANTの外席

外にも席があり、シーシャ(水たばこ)喫煙可能。

▼メニュー
LUCKY RESTAURANTのメニュー

朝食メニュー(写真左)にバンマスカやイラニチャーイがあることが、かつてここがイラニカフェであったことを示している。

インドムスリム料理の代表的な米料理であるビリヤニのほか、湾岸諸国版のビリヤニ「Kepsa(ケープサ)」も提供している。ムンバイにはKepsaを提供するムスリムレストランが多く、ビリヤニにならんで人気のあるムスリム米料理である。

これらのほか、普通の北インド料理(ムガル料理)やインド中華を提供している。

▼サフランファルーダ
サフランファルーダ

イラニとは全く関係のない、Special Kesar Falooda(サフランのファルーダ)を注文。(170ルピー)

ファルーダとは、インド版パフェ、インド版あんみつ、インド版フラペチーノ、そんな感じの甘い飲み物。(←うまく説明できないが、思い浮かばないがなんとなくイメージしていただけたら嬉しい)

甘ったるいのに病みつきになるから、本当に謎。

この日はファルーダしか注文しなかったが、過去に訪れた際に人気メニュー「マトンビリヤニ」をいただいた時の写真も貼っておく。

LUCKY RESTAURANTマトンビリヤニ

1人は食べきれない量なので、複数人で注文してね!ෆ(◕ㅂ◕)ෆ

LUCKY RESTAURANTの最寄り駅(バンドラ)

最寄り駅はウエスタンラインのバンドラ駅。バンドラはムンバイの流行の発信地で、数多くのボリウッドセレブが住んでいるエリアで、三大カーン(シャールクカーン・サルマンカーン・アーミルカーン)もこの地域にお家がある。

華やかな人々がバンドラで生活する一方、バンドラ駅の真横にはスラムが広がっている。

バンドラ駅のスラム
バンドラ駅真横に広がるスラム

BRITANNIA & CO. ブリタニヤレストラン

Buritannia Restaurant

(訪問日:2021年3月27日)

1923年創業、約100年の歴史を持つイラニカフェ…ではなくレストラン

BRITANNIA & CO.の入り口

エントランスから漂うクラシックな雰囲気… たまらねぇ…!!!

▼ブリタニヤレストランの場所

▼店内の様子
BRITANNIA & CO.の店内①

ブリタニヤが他のイラニカフェやレストランと大きく異なる点は、料理を運ぶ店員さんが皆フォーマルな制服に身を包んでいるということ。

真っ白なシャツに蝶ネクタイ、足元はきれいに磨かれた革靴。ここは高級ホテルのレストランでもなく、富裕層向けレストランでもなく、外資のチェーン店でもない。

一般市民向けのレストランであるにも関わらず、すごいよね。

BRITANNIA & CO.の店内②

店内には、イラン・インド・イギリスの国旗が飾られている。

前オーナー(2年前に97歳で死去)がイギリス王室のファンだったそうで、ウィリアム王子&キャサリン妃のパネルも飾られているw

イギリス王室

▼メニュー
BRITANNIA & CO.のメニュー

植民地時代は辛い料理が食べられないイギリス人駐在員向けにコンチネンタル料理を提供していたそうだ。

インド独立後、フィッシュアンドチップスを食べるようなお客さんがムンバイからいなくなってしまったのでムガル料理やマンガロリアン料理を提供するように。その後積極的にパルシー料理をメニューに組み入れるようになり今ではムンバイを代表するパルシーレストランとなった。

というわけで、デイリースペシャリティーズ(メニュー左上)にはパルシー料理がズラリ!

さてさて、どれを頂こうかしらෆ(◕ㅂ◕)ෆ💓

▼ライムソーダ
ライムソーダ

まずはライムソーダで喉を潤す🍋(110ルピー)

▼チキンベリープラウ
チキンベリープラオ

メインには、ブリタニヤレストランで一番人気のあるChicken Berry Pulav(チキンベリープラウ)を注文(550ルピー)。

プラウとはイランの炊き込みご飯のこと。
トルコの米料理「ピラウ」が名前と形を微妙に変えて全世界に広まったというアレです、アレ。インドならプラオやビリヤニ、ウズベキスタンではパラフ、ロシアではプロフ、フランスではピラフ、、、日本でもピラフの名で知られているあの料理の親戚みたいなもんです。

このベリープラウ、実はイラン料理でもなくパルシー料理でもない。当初はイランスタイルで提供していたそうなのだが、インド人から不評だったので(スパイスが足りない!グレイビーが足りない!味が薄い等々…)インド人の好みに合わせてをアレンジ。ブリタニヤレストランが開発したインディアン・イラニパルシー料理なのだ… アレンジ後はインド人の皆さんにも受け入れ大人気メニューとなったとな。

チキンベリープラウ

お米の上にまぶされているベリーは、乾燥させたベルベリスの実(クランベリーみたいな味)。イランでは米料理にベルベリスがまぶす文化があるみたい。パッと見は白いお米だけのように見えるが、内側にはたっぷりのグレイビーと鶏肉~~~!

これがインド人向けにアレンジしたという例のやつだね。激うまでした。

ちなみにメニュー表の金額をみて分かる通り、他のイラニカフェやレストランと比較してお高めでござんす。そりゃあ店員さんが正装してるくらいだからね~、納得。

ブリタニヤレストランの周辺
ブリタニヤレストランの周辺

ブリタニヤレストランは非常に閑静な住宅街にある。一般的な「インド」のイメージとは大きくかけ離れたコロニアルな地域。

カフェブリタニヤの最寄り駅CSMT駅

最寄り駅は世界遺産CSMT駅。徒歩15分程度。

CAFE UNIVERSAL カフェユニバーサル

CAFE UNIVERSAL

(訪問日:2021年3月27日)

1921年創業、今年100周年を迎える歴史あるイラニカフェ。ヤズド出身の現オーナーが創業者一家からこのカフェを買い取りリノベーションしたそうだ。ど~りでおしゃれな外観なわけで。

ちなみに創業者一家は全員アメリカに移住してしまったと。

CAFE UNIVERSALの看板
看板に施されたレリーフはゾロアスター教アピール強め

▼カフェユニバーサルの場所

▼店内の様子
CAFE UNIVERSALの店内

リノベされているので伝統的なイラニカフェの雰囲気はないように感じるが、お洒落で雰囲気が超~いい!

CAFE UNIVERSALのテーブル

タイルが埋め込まれたテーブル。センスが良すぎるぜ。

CAFE UNIVERSALの店内の装飾

店の外の看板だけでなく、店内にもゾロアスター教の装飾がたくさん。

▼メニュー
CAFE UNIVERSALのメニュー

パルシー料理のほか、シズラー(インドの鉄板焼き)やインド飯などメニューの幅は広い。

「WE ARE NOT PURE VEGETARIAN」

私の同僚のパルシーが「私たちはもともとファイターだったからお肉をたくさん食べる文化があるの」と言っていた。パルシーレストランは、たとえベジメニューがあったとしても厳格なベジタリアンの人には無縁なんだろうな。

カフェユニバーサル

ちなみにアルコールもある。シズラーをビールで流し込んだら最高だろうね~🥩🍺✨ 私の横のテーブルで地元のおっさんが昼間からビールをちびちびと飲んでいた。

▼クリームキャラメルとコールドコーヒー
クリームキャラメルとコールドコーヒー

ここではデザートをいただいた。Cream Caramel(クリームキャラメル)はまるで日本のカスタードプリンのような感じ。口当たりもなめらかで美味しかった。(140ルピー)

冷たいものを飲みたかったのでCold Coffee(コールドコーヒー)も注文。(140ルピー)

これは我々が思い浮かべるアイスコーヒーとは全くの別物で、冷たくて甘い、ミルキーなコーヒーのことを指す。「ミルク」とか「ラテ」とか「オーレ」という単語は含まれていないが牛乳入りで、フラペチーノ感があるので私は好きෆ(◕ㅂ◕)ෆ💓(←外国人にとっては好き嫌いが分かれやすい味)

最寄り駅はCSMT駅で徒歩約10分、ブリタニヤレストランからは徒歩5分ほどの距離。

YAZDANI BAKERY ヤズダニベーカリー

YAZDANI BAKERY

1953年創業のイラニベーカリー兼レストラン。

建物はとても古く、戦前は日本の銀行のボンベイ支店として使われていたという!!!一体どの銀行かは分からないが、東京銀行の前身である横浜正金銀行あたりなんじゃないかと勝手に想像している。Wikipediaを見てみるとボンベイ支店は実際に存在したようだし。

▼ヤズダニベーカリーの場所

▼店内の様子
YAZDANI BAKERYの店内①

以前はカフェレストランであったが現在は料理の提供はなく、ベーカリーとして営業している。

今年1月、つい3か月前に86歳だったオーナーが亡くなったそうなのだが、それが影響してるのか、はたまたコロナだから一時的に店内飲食をやめているのか、、、

YAZDANI BAKERYの店内②

店頭で売られているパンは、写真左側の機械を使って今も手作りで作られている。

YAZDANI BAKERYのメニューYAZDANI BAKERYのお菓子

BUN、BRUNをはじめとするパン、およびクッキーやマワケーキが売られている。

▼マワケーキ
マワケーキ

テイクアウトその1はMawa Cake(マワケーキ)

マワとは牛乳とギー(不純物を取り除いたバター)を混ぜてつくる牛乳を固めたようなものでコーヤーとも呼ばれる。インドのお菓子によく使われている。このマワを使ったのお菓子がマワケーキで、イラニカフェやベーカリーの定番メニューのひとつ。

▼シュルースブリービスケット
シュルースブリービスケット

テイクアウトその2はShrewsbury Biscuits(シュルースブリービスケット)

これ、プネのイラニ系ベーカリーでは超超超定番のクッキーで、バターとミルクがたっぷりと使われたノンベジ激うまクッキー(卵使用)。以前プネに行ったときに食べて以来ハマっている。

インドで市販されているビスケット(クッキー)は卵不使用のものがほとんど。なんてったってベジタリアン大国だからね… 卵を使っていないとパサパサしててノンベジ大国で生まれ育った私には物足りないのだが、シュルースブリービスケットには大満足…!

ノンベジは正義やね!と言いたいが、一応ゆる~くベジタリアン生活を送っているので表面上は発言を撤回しておく。

ヤズダニベーカリーは前編で紹介したIDEAL CORNERのすぐ近くで、歩いて5分もかからない距離。

植民地時代のコロニアルな街並みが広がるフォート地区にお店があるのだが、この辺は歩いているだけで楽しいし、まるで異国にいるかのよう。(←さすがに少し盛ったw)

ヤズダニベーカリーの周辺(フォート地区)の街並み
ヤズダニベーカリーがあるフォート地区の街並み。このビルに入居しているのがHSBC銀行であることがインド要素をさらに薄める。

ヤズダニベーカリーの周辺(フォート地区)の街並み
喧騒とは無縁

コロニアルで立派なアールヌーボーデザインのこれらの建物はしっかりとメンテナンスされていることもあり、写真で一部分を切り取ってみればヨーロッパのどこかの町かな?と勘違いするレベル。(←これは盛ってないし本心でそう思う)

聖トマス大聖堂

聖トマスの大聖堂もある。美しいところを見せてみんなのムンバイに対する評価をあげようという魂胆ですw

最寄り駅はCSMT駅で、徒歩約10分。カフェユニバーサルからも徒歩約10分。

この日はブリタニヤレストラン(昼食)➡🚶5分➡カフェユニバーサル(デザート)➡🚶10分➡ヤズダニベーカリ(持ち帰り)と3軒ハシゴした。

後編につづく

👇この地図にたくさん埋め尽くして制覇していくぞ!

この記事(中編)で紹介したお店は緑色で表示しているよ。

▼つづき(後編)はこちら! indoyuruyuru.com


ムンバイのイラニカフェまとめ

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