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【インド生活】どうしてインドでトマト価格が急騰しているの?いつまで続くの?

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インドでトマト価格急騰

ナマステ、インド在住のKome(@chankomeppy)です。

インドでは6月からトマトの価格が上がり始め、7月に急騰。そしてなんと、1キロ300ルピー(約500円)に達する見込み。

インドに住んで8年。トマトがこんなにも高くなったのを見たことがない。トマト価格急騰の背景といつになったら通常の価格まで戻るのかを調べてみました。

▼目次はこちら (クリックして表示)

はじめに:インドのトマト生産事情

インドの農作物は、秋に種が蒔かれ冬に育ち春に収穫されるRabi Crop(Rabiはアラビア語で「春」を意味する)とモンスーンが始まる頃に種が蒔かれモンスーン中に育ちモンスーン終盤に収穫されるKharif Crop(Kharifはアラビア語で「秋」を意味する)の2種類がある。

春からモンスーン中に出回るトマトはRabi Cropで、それ以外の時期に出回るトマトはKharif Crop。

今市場に出回っているトマトは前者の春収穫のもの。このうち、1月~3月に育てられたトマトが4月~6月、3月~5月に育てられたトマトが6月~8月に市場に出回る。

トマト価格の急騰

トマトの価格は通常1キロ30~40ルピー程度(ムンバイの場合)。

6月初頭はいつも通りのお手頃価格だったのに、6月末には1キロ100ルピー近くにまで値上がりし、7月も値上がりを続け、今はなんと1キロ200ルピー台まで達した。通常時の10倍だよ!!!!

トマト価格
ムンバイ市内のスーパーにて。オーガニックトマト、1キロ250ー(2023年8月4日撮影)
トマト価格2
通常のトマトも1キロ160~180ルピー(2023年8月4日撮影)

日本でトマト3玉セットの価格が、わずか2か月間で300円から3000円になったようなもんだと思えば、いかにヤバい事態が起きているかお分かりいただけるであろう…

今後もしばらくは値上げが続くと見込まれていて、卸売り業者は「300ルピーに到達する可能性もある」とメディアに語っている。

economictimes.indiatimes.com

トマトはインド人の食卓にはなくてはならない食材のひとつ。インド料理を作る際に「玉ねぎ」や「トマト」は必須アイテムであり、これらは物価の物差しとしても用いられる。

さらに、トマト価格急騰に若干埋もれているが、インド料理を作るのに欠かせない生姜をはじめとする他の野菜も値上がり中。毎日インド料理を食べるインドの一般家庭に与えるダメージは相当なものだろう。

トマト価格急騰のダメージを軽減するため、巷では既製品のトマトピューレの需要が爆上がりしている。完全に私の偏見だが、インド人は食べ物の"既製品"をあまり好まず、素材から手作りしたものを良しとする傾向がある。既製品のピューレを使うと「手抜きだ!」とか「手作りが一番いい」とか言われかねないのだが(←まじでこういうことを言う過激派が存在する)、さすがにここまで値上がりしてしまっては背に腹は代えられないらしい。トマトピューレは便利なので、私は信者だけどね~。

▼トマトはガソリンよりも高いと話題に。

トマト価格急騰の理由

では一体、どうしていきなりトマト価格がこんなにも値上がりしたのか。

理由はいくつかある。

理由①:猛暑による不作

トマトが良く育つ気温は20~30℃だと言われている。トマト生産地を含むインド各地では、3月から4月にかけて連日最高気温30度を超える猛暑が襲った。私が住むムンバイでも3月初めから熱波が到来し気象庁が警報を発する日もあった。

春収穫トマトの一大生産地であるマハーラーシュトラー州のプネ―地区にあるJunnar地方の3月から4月にかけての気温推移は以下の通り。(出典:Accuweather)

Junnarの気温推移

40度に達した日もあり、この暑さにトマトもぐったりしてしまったのだろうか。

▼こちらの記事によると、以下の条件でトマトが「高温障害」を引き起こすらしい。

minorasu.basf.co.jp

トマトの高温障害の発生原因は大きく4つに分けられます。

第一に、生育適温を超える高温の日が続くこと。トマトの生育適温は品種によっても異なりますが、一般には昼間25度~30度、夜間10度~15度です。昼夜間の平均気温が25度以上の日が連続すると高温障害が起きやすくなります。

第二は、気温の急上昇。36度以上の高温にさらされると花粉の機能が低下し、40度以上では生育自体が止まります。

第三は果実に強い日光があたること。前述の高温の日の連続や気温の急上昇によって、果実の日よけとして機能していた葉がしおれたり丸まったりし、果実がむきだしになり直射日光があたります。果実が日焼けすると果皮が固くなり裂果が発生しやすくなります。

第四は、育苗時の高温。育苗時に高温にさらされ苗が徒長すると、着果する節の位置が高くなり、生育後、高温や日射の影響をうけやすくなります。育苗時の温度管理には特に留意する必要があります。

これ、4つ全部当てはまるんじゃないの~🥵💦💦💦

高温障害が出ると、果実が割れたり、ぶよぶよになったり、着色不良や尻腐れが起きたり、中がスッカスカになったりと、トマトの品質が悪くなってしまう。

さらにこれに加え葉巻病(虫が媒介するウイルスにより葉がちりめん状になり、株が委縮して結実しない病気)やモザイク病(虫が媒介するウイルスにより葉がモザイク状になって矮化、小型なまま成熟する病気)も発生。

その結果、
トマト大不作!!!

低品質トマトしかできなかった。

ここで、現在出回っているトマトの質を見てみよう!
野菜の品質に全くこだわりのない私でも目で見てわかるほどに質が悪い。小さく、黄色く、瑞々しさがなく、少し痛んでいる。

小さいトマト
ゆき丸さんが、トマト小さいね、と言っている。

黄色いトマト
黄色くて小さいトマト

トマトの品質が悪いことを理由に、マクドナルドやサブウェイの一部の店舗ではトマトの提供を停止した。

economictimes.indiatimes.com

economictimes.indiatimes.com

実は昨年も熱波や異常気象による不作を理由にトマト価格が上昇していたが、それでも今年のように1キロ200ルピー台にまでは到達していなかった。せいぜい1キロ80ルピーとか100ルピーとかそれくらい。

昨年も高かったけど、今年はど~してこんなに高いの!

その理由は以下に続きます。

理由②:一部の生産者がトマトを生産を放棄した

春収穫のトマトの生産コストは1キロあたり12ルピー程度だというが、上記猛暑の影響で質の悪いトマトができてしまい、生産者はパニックでトマトをたたき売りした。

これにより、4月から5月の卸売り市場のトマトの取引価格が大暴落。4月は1キロ5~15ルピー、5月は1キロ2~5ルピーにまで下落。この価格大暴落を目の当たりにし、トマト農家は育てていたトマト(←上記の通り猛暑により生育が悪い)を放棄することを決め、別の野菜を作り始めた。

トマト一大生産地のJunnar地方では、春収穫のトマトの栽培面積は通常3000~5000エーカーだというが、今年は1000エーカーにも満たないという。

その結果、猛暑による低品質トマトの
流通数激減!!!

▼ソース。 indianexpress.com

理由③:季節外れの雨とモンスーンによる追い打ち

5月に季節外れの雨が降り、6月中旬にモンスーン突入後も例年以上の降水が見られる。私が住むムンバイの7月の月間降水量は過去30年で最高を記録し、デリー首都圏でも7月中旬に豪雨による大洪水が起きた。

生産地では豪雨により浸水で作物がダメになったり、都市圏では激しい雨により供給混乱が発生したりする事態が起きており、

その結果、ただでさえ質も悪く流通数も激減しているトマトの
価格急上昇!!!

▼ソース。 www.zeebiz.com

このように様々な理由が重なり、歴史的なトマト高になっているのだ。

トマト価格はいつ落ち着くのか

「はじめに」で書いた秋収穫のKharif Cropが市場に出回り始めるまで、このトマト高は続くと言われている。

つまり、9月…
あと1か月の辛抱、それまでトマトピューレで乗り切ろう😓💦

ここ数年は毎年異常気象が起きているので、昨年、今年に続き、来年もきっとトマト不作による3~4月の大暴落は起きるのだろう。たまねぎ同様に政府介入も検討してほしいものである。

我々消費者(特にインド料理を毎日食べているみなさん)は、3月~4月の猛暑による低品質トマトを受け入れ、適正価格を支払う心✋を持つべきよね。そりゃあ大きくて赤くて瑞々しいトマトが食べたいが、インドの気候的にどんどん難しくなっていくんじゃないの。(知らんけど)

今年の一件から色々と学習して来年に活かしてほしいものだが、政府も農家も消費者も誰も学習せず、また来年も同じ騒ぎが起きるに一票✋