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体臭?ワキガ?インド人特有の独特なにおいについて

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アイキャッチ画像 (※本記事は旧ブログに2019年11月に掲載したものを再掲しています。)

ナマステ、インド在住のKome(@chankomeppy)です。

インド人に対して「体臭がすごい」というイメージを持たれている人もいると思うが、本当にすごい人もいれば、無臭の人もいるし、心地よい香りを身にまとっている人もいる。

これは人それぞれなので、「インド人は体臭がすごい」とひとくくりにするのはいかがなものかと思うし、非常に失礼な表現だ。

だが私はいま、インド人の体臭及びワキガの被害を現在進行形で受けている。

職場に独特の強烈な香りを放つ同僚(以下、同僚Aとする)がおり、同僚Aと私のデスクは1mほどしか離れていないために、彼から放たれたその独特の香りは、マスクを3枚重ねて着用しても私の嗅覚を強く刺激し、頭痛を引き起こすレベルだ。そのため鼻呼吸を避けて口呼吸になりがちなので、喉も傷めやすい。

このように私は深刻な被害を受けており「インド人のにおい」について考える機会が多いので、体臭についてまとめてみることにした。

インド人のにおいの原因を理解すれば、独特なにおいを放つインド人とも接しやすくなるかもしれない。。

▼この目次の長さから分かるように、なかなかの長文である。週5日(月~金)8時間、ユニークなにおいにリアルに悩まされているため、真剣に調べてたらとても長くなってしまった。私のようにで困っている方にはぜひ最後まで読んでいただき、においについて理解を深めてもらいたい。

▼目次はこちら (クリックして表示)

はじめに:人間がにおいを感じる理由

人間はみんな体臭を持っている

日本人は外国人に比べて、ワキガのもとになるアポクリン汗腺という汗腺を持つ人が少ないため、「日本人は外国人と比べて体臭が弱い」と思われがちであるが、日本人だってインド人だって、人間はだれもが体臭を持っている

「ワキガ」のほかに、すでに体臭界で地位を確立している「加齢臭」をはじめ、お疲れ気味のサラリーマンからは「疲労臭」、ダイエットに励むOLからは「ダイエット臭」、等々・・・われわれ人間からは様々なにおいが放たれている。

体臭はその人の体質もあるし、食事や健康状態、衛生状態などの情報を反映している。

(参考にしたページ: 加齢臭や疲労臭にもご注意!体のニオイ対策ガイド

人間はかぎ慣れてないにおいには反応する

人は、日常的にかいでいるにおいには順応してしまい、感じにくくなってしまう。嗅覚以外の感覚でも順応は起こすが、特に嗅覚は順応しやすいとされている。それは、危険を察知するためだ。

嗅覚は、そもそも野生動物が敵を察知し、危険を回避するために備わっている。人間にも、機能が残っている。

日常的に感じるにおいは、危険とは言えない。危険ではないにおいへの反応を鈍くする一方で、それ以外のにおいへの反応を鋭くしている。急に危険なにおいがしたときに、即座に反応できるようにするためだ。そうでなければ、命の危険が増してしまう。

この効果は、野生動物では役に立つが、人の場合には、困ることがある。自分自身が、強烈な口臭や体臭を放っていても、それが持続的であるほど、本人には自覚しづらくなってしまう点だ。

なぜ人は「自分のにおい」に気づけないのか 体臭と記憶にはきってもきれない関係がある

どうやら、「同僚Aの独特な香り」は、私が日常的にかぎ慣れていないにおいであるため、「危険なにおい」として、脳が本能的に強く反応しているということだ。

確かに、ほかのインド人同僚たちは彼の隣にいてもまったく表情を変えず、平然としている。これまでの人生において、同僚Aが放つようなにおいに出くわす機会が多く、慣れているのだろう。ほかのインド人同僚たちは、同僚Aの香りをわたしほどは強く感じていないということだ。

同僚Aが放つ独特の香りは、同僚Aのコンディションによって、以下のようなレベルに分けて考えることができる。

  • 超ハード:マスクを複数枚重ねて着用してもしのげない
  • ハード :マスク2枚でなんとかしのげる
  • ノーマル:マスク1枚でしのげる
  • ライト :マスクなしでも接近しなければ耐えられる
  • 無臭  :ごくまれに無臭の日もある

以前、同僚Aが「超ハード」級を上回る過去最高に強烈な香りを放っていたことがあった。耐えられなくなった私は誰かとこの気持ちを共有したいと思い、オフィスボーイ1)に「私のデスクの周りで変なにおいがする気がする」と勇気を出して伝えてみた。

1:オフィスボーイとは、職場の掃除やお茶くみをしてくれる人で、常にオフィスのあちこちを移動しているので同僚Aの周辺も頻繁に通っている。ちなみに彼自身はにおいを放つことが少ない。

その日のにおいはあまりにも強烈だったので、「同僚Aさん、今日はすこし体臭が強めですよね」だなんて回答が返ってくるんじゃないかと少し期待していた。

だが、オフィスボーイは「マーム2)、さっきマームの近くを掃除しましたけれど、何も感じませんでしたよ。あとで確認して、変なにおいがするようであれば、スプレー3)まいておきますね」と・・・。

2:マーム=マダムのこと。下っ端系の人たちが自分よりも格上の女性を呼ぶ際に「さん~」的な感じで使う。男性の場合はサーをつける。

3:室内にまきちらす香りがきつめの芳香剤スプレー

あんなに強烈なのになにも感じないだと・・・?恐るべしインド人のにおい慣れ。

インド人特有のにおいの構成要素

私が「同僚Aの独特の香り」に慣れていないために、脳の危険シグナルが発動して強く反応してしまうことはわかったが、そもそもどのようにしてインド人特有のあの「におい」は形成されているのであろうか。

においの構成要素について見ていく。

①汚れやムレによるくさい汗

インドは広い国なので地域によって気候は大きく異なるが、ヒマラヤ周辺のエリアや北インドの冬を除いて、高温多湿で暑い

以下のインドの地図で、赤で囲っているところは夏場(4月~6月ごろ)は本当に暑く、40度を超えることもある。青で囲っているところは冬(12月~2月ごろ)でも最低気温は20度以上ある。

インド地図

冬はある程度涼しくなるが、日本のように春夏秋冬というようなメリハリはない。

インドの四季は、
Summer(夏)
Hotter Summer(暑い夏)
The Hottest Summer(めっちゃ暑い夏)
Monsoon(雨季)

であるとインド人の友人が言っていたが、ムンバイはまさにこの通り。

インドで快適な生活を送るためにエアコンは欠かせないのだが、電気代が高いので、1日中エアコンをつけて過ごしていたら、月の電気代は1万ルピー(約1万5000円)をこえてしまうだろう。

ムンバイなどの大都市では、日雇いや単純作業に携わる人達の収入は月1万ルピー(約1万5000円)前後、名の知れた企業に勤めるサラリーマンは月3万~5万ルピー(約5~8万円)、管理職クラスで月10万~20万ルピー(約15~30万円)程度。

エアコン1台を設置するのに初期費用として数万ルピーが必要、かつランニングコストも高いとなれば、エアコンをガンガン付けた快適な生活は富裕層のみが許される贅沢であり特権とも言える。

そのため、庶民は扇風機で暑さをしのぐのが一般的で、インドの家には必ずシーリングファン(以下画像参照)が設置されている。

シーリングファン シーリングファンを回している様子

シーリングファンは天井が落ちるのではないかというくらいにパワフルに回転するので、真下にいるとなんとかやり過ごすことはできるが、ファンから送られてくる風そのものが生ぬるいので、ジワっと汗はかいてしまう

汗そのものに臭いはなく無臭だが、汗を放置すると細菌が垢や皮膚の汚れなどをエサにして、イヤなにおいを作り出す

インドの公共の場所は基本的に汚いため、細菌のエサとなる汚れはすぐに蓄積される

また、インド人は体毛が濃い人が多い。腕や脇だけでなく、胸にも、お腹にも、肩にも、背中にも、全身毛まみれである(※個人差があります)。しかし、インド人男性に体毛を処理する文化はなくワイルドに生やしっぱなしのため、体毛で汗がむれて菌が繁殖しやすい状況がつくられ、それがにおいにつながっている。

インド人のにおいの構成要素
  1. くさい汗

②低機能の汗腺とワキガ

インドに限らず東南アジアなどの暑い国全般に言えることだが、建物の中(自宅を除く)が非常に寒い。エアコンの設定温度は18度がデフォルト

自宅では電気代を節約のためにエアコンの使用を控えている人達も、「自分が払わなくてもよい」となると、エアコンをばんばん使う。ひどい話だ。そのため、オフィスやショッピングモールは冷蔵庫の中にいるかのような寒さである。エアコンが効いた屋内で長時間過ごしていると汗腺の機能が弱まる

また、インドでは日常的に運動をしている人は少ない。運動やスポーツを楽しむ余裕があるのは一部の富裕層のみだ。運動不足で汗をかかないと、汗腺の機能が弱まる

汗腺の機能が低いと、ベタ~っとしてにおいが強い汗(質の悪い汗)をかきやすくなる

生まれつきワキガの人に加え、汗腺の機能が弱まった多く人たちもワキガ臭を放つので、日本人の感覚としてワキガの人はかなり多いように思う。

インド人のにおいの構成要素
  1. くさい汗
  2. ワキガ

③スパイス

インド料理をつくる上で「スパイス」は欠かせないが、摂取したスパイスが血液を通じてにおいとして放たれている(ような気がする)

そんなことあるか?と思うが、日本人だって外国人から「醤油のにおい」がすると言われることもあるし、インド人からスパイスのにおいがしたってなんら不思議ではない。

実際に、スパイスのにおいがするインド人について触れている記事を発見した。

ベルギーのブリュッセルのバーで働いていたインド人女性が、「君はカレーの匂いがする」という理由で仕事をくびになった。インドには「カレー」が存在しないため、「カレーの匂いってなんだろう?」と記事の筆者とその友人が以下の会話を繰り広げる。

先日インドへ帰ったとき、友人たちと飲みながらこの話をした。ニューデリーらしい喧騒の中、テーブルの半分を埋めた友人たちはどっと笑った。

「待って、でもカレーって何?」親友の一人が疑問を口にした。「それに、そもそもそれの何が悪いわけ?」

「クミンだったとか? クミンパウダーの匂いがしたからクビにされたってこと?」別の一人も半ば当惑し、半ば面白がってそう言った。

ふと、みんな考え込んだ。クビだと言われた日に私の心によぎったのと同じことを。そしてカレーの匂いについて、それがどの匂いだったのかについても。

「君はカレーの匂いがする」その一言で、バーをクビになった

クミンのにおい・・・

「私なら自分がクミンの匂いだったらいいなと思う。その店主も自分がクミンの匂いだったらいいなと思ってるよ」友人はそう付け加えた。

「君はカレーの匂いがする」その一言で、バーをクビになった

クミンのにおいって、どんなにおいか知っていますか?

わたしは自分の体臭がクミンの匂いだったらいやだ。

なぜなら・・・

クミンのにおいはワキガ系

どんなインド料理にもだいたい使われている「クミン」の香りは非常にユニークだ。

小さいときからクミンに馴染みのある生活をしているインド人にとって、クミンの香りは「クミン」以外のなにものでもないのだろうが、クミンに全く馴染みのない外国人にとっては、クミンの香りは「ワキガ」のにおいと重なるだろう。

私も、インドに来た当初は、クミンのにおい ≒ ワキガのようなにおい だと思っていた。インド料理を自分で作ったり、インド料理漬けの生活をしない限り、外国人にとっては「クミン」≒「ワキガ」というイメージを変えることは簡単ではないと個人的に思う。

インドのスーパーのスパイス売り場を見れば、クミンがインドの台所になくてはならないものであることがすぐにわかる。ターメリックやパクチー、レッドチリパウダーと並んでクミンの存在は大きい。

クミンを使用したジュースやソーダも売られており、クミンはインドの国民的スパイスのひとつに数えられる。

インドのスーパーに陳列されているスパイス
ムンバイのスーパーのスパイス売り場にて。クミンは大袋でも小袋でも売られている。

インドで売られているジーラ(クミン)ソーダインドで売られているジーラ(クミン)ジュース
商品にかかれている「Jeera(ジーラ)」とはヒンディー語でクミンを指す。

👆これらのクミンドリンクについて、クミンの香りを「ワキガ」として認識する外国人たちは「インド人の汗の味がする」と言う。めちゃくちゃまずそうである。

「クミン」のにおいは「ワキガ」のようだと認識されるが、逆に「ワキガ」のにおいを「クミン」と認識することはできるのか?

Noooooooo!

そんなことできるわけがない。クミンはクミンで、ワキガはワキガだ。完全に別のにおいだ。

ところが、ウィキペディアのワキガページで、とんでもない記述を発見した。

その臭い自体は人やその時の環境などによって違いがあるため一概には表現できないが、ゴボウの臭い、ネギの臭い、鉛筆の臭い、酢の臭い、クミンの臭い[1]、納豆の臭い、古びた洗濯ばさみの臭い、ドリアンの臭いに喩えられることが多い。

[1] ^ このため、料理にクミンを多用する文化圏では違和感を覚えない

腋臭症(Wikipedia)

クミンを多用する文化圏では、ワキガのにおいがクミンに似ているので、ワキガのにおいに違和感を覚えないという。

先ほど述べた通り、クミンはインドの国民的スパイスであり、クミンを多用する文化圏である。

インド人の皆さんは、ワキガのにおいに違和感を覚えず「クミン」のようだと感じているのだろうか。

同僚Aの話に戻るが、彼は相当ひどいワキガ持ちであるが、ほかの同僚たちは「クミンのにおい」と認識しているのであろうか。

仮に、自分がワキガでも、

「私なら自分がクミンの匂いだったらいいなと思う。その店主も自分がクミンの匂いだったらいいなと思ってるよ」友人はそう付け加えた。

「君はカレーの匂いがする」その一言で、バーをクビになった

という意見もあるので、「自分からクミンのにおいがする」ことに対して、何の抵抗もないのであろうか。

クミンがワキガを助長

もともとワキガの人がクミンを大量摂取するとどうなるのか。

自分でインド料理を作ってみて思うことなのだが、クミンを使わない料理は存在するのか?というくらい、インドにおいて、クミンはどんな料理にも幅広く使われている

インド人はクミンを含む大量のスパイスを使った食事を1日3食 or More × 365日摂っている。つまり、99%以上のインド人はクミンを大量摂取していると考えてよいだろう。

クミンが含まれるスパイシーな食事でじんわりと汗をかく
ワキガ臭発生

血液に取り込まれたクミンが体臭として放たれる
クミン臭(≒ワキガ臭)発生

この繰り返しである。ワキガ臭無限ループだ。

なかなか厳しい。

インド人のにおいの構成要素
  1. くさい汗
  2. ワキガ
  3. クミンのワキガっぽい臭い

④玉ねぎとにんにく

インド人の台所にいつでもある野菜といえば「玉ねぎ」と「にんにく」だ。これらなしにインド料理を作ることはできない。

インドで一般的に使われる玉ねぎは、日本でよく見かける黄玉ねぎではなく紫色をした赤玉ねぎだ。

赤玉ねぎ

おそるべし生玉ねぎ

赤玉ねぎは黄玉ねぎと比較して甘味があるので生食に向いている

インド料理屋さんに行くと、付け合せとして1cm幅にスライスされた生の赤玉ねぎがよく出されるが、生玉ねぎを食べたあとの口臭は自分でも分かるほどに臭い。

この口臭の原因は「アリシン(硫化アリル)」という硫黄を含む成分で、玉ねぎを包丁で切ると涙がでるのはこの成分が作用しているため。玉ねぎのツーンとした辛味のもとでもある。

アリシンは空気に触れると酸化して臭いを発生させる。アリシンの酸化によって発生した臭いが口の中に残ることで強い口臭を引き起こす。

また、胃で消化された後に血液中に取り込まれると、肺を通じて臭いが排出されて強い口臭となる。

さらに、汗と一緒に排出されて体臭にもなるという。

おそるべし生玉ねぎ。

口臭も体臭もたまねぎのにおいがするだなんてつらい。

おそるべきアリシン

アリシンは玉ねぎだけでなく、にんにくにも含まれている。にんにくなんて、体臭につながる食べ物の代表選手みたいなもんだ。

傷がない状態の玉ねぎやにんにくはにおいがしないが、アリシンは酸素に触れると臭いを発生させるので、細かく切ったりすりつぶしたりすればするほど、強い臭いを発生させる

また、アリシンから生み出された臭い成分は油に溶けやすいそうだ。

(参考にしたページ:ニンニクを化学する

インド料理に玉ねぎとにんにくは必要不可欠で、細かくみじん切りにするのが基本だ。また調理の際は大量の油を使う

アリシンを摂取してから体臭となるまで16時間、そしてその体臭が完全に取れるまで2週間ほどかかるそうだ。

おそるべし玉ねぎ
おそるべしにんにく
おそるべしアリシン

こりゃー、体臭祭りである。

インド人のにおいの構成要素
  1. くさい汗
  2. ワキガ
  3. クミンのワキガっぽい臭い
  4. たまねぎ・にんにく臭

⑤外国人の潜在意識

人間の脳は、すでに持っているイメージを優先して物事を考えてしまうようにできている。

例えば、真っ赤なカレーを見たら、実際に辛いかどうかは別として「辛そう!」と思うし、うんちを見たら、実際にくさいかどうかは別として「臭そう!」と思う。

私たちは納豆をおいしいと知っているので、納豆から放たれるにおいは「おいしいにおい」に分類されるが、納豆をしらない外国人からすれば「何日も履いた靴下のようなにおい」と表現されてもおかしくないほど、納豆だって強烈なにおいを放っている。

このように、きっと私たちはインド人の体臭はくさい」という潜在意識があるため、実際にくさいかどうかは別として、くさいと思ってしまうのではないだろうか。

インド人のにおいの構成要素
  1. くさい汗
  2. ワキガ
  3. クミンのワキガっぽい臭い
  4. たまねぎ・にんにく臭
  5. 私たちの潜在意識

⑥きつめの香水やデオドラントスプレーのにおい

インド人は「イイにおい」が大好き

インドでは、昔から「香り」が重要なものとして扱われてきた。

例えばインド独立の立役者として有名なガンディーは「ガンディー」と呼ばれる香料や香油、香辛料や食品雑貨を取り扱う商人カースト出身だ。

香りを扱う商売がカースト名として存在することから、インド社会において古くから香りは重要であったことが分かる。

スーパーや日用雑貨店では、お部屋にまき散らすタイプのスプレーが何種類も売っている。上述のオフィスボーイの話(↑戻る)でも登場した「においがきつめのスプレー」だ。

インドに来たばかりの頃は、その強い香りからトイレの消臭スプレーかと勘違いし、家中どこにでも使うものだと知るまでに少々時間を要した。

インドのルームフレッシュスプレー
ローズ、ラベンダー、サンダルウッド、石鹸の香りあたりが人気。

自分自身にも「いいにおい」をまとうべく、香水やデオドラントスプレーを身に付けるのがエチケットとなっている。

香水やスプレーをつけすぎなのか、それとも香水やスプレーのにおいそのものがきついのかは分からないが、きつめのにおいを漂わせている人は多い

インドで売られているデオドラントスプレー
デオドラントスプレーの種類は豊富で安いものは100ルピー台で、低所得層も愛用している。

「イヤなにおい」に「イイにおい」をかぶせる文化

インドと日本では、「イヤなにおい」に対する考え方が180度異なる。

日本では「イヤなにおい」を無臭化するが、インドでは「イヤなにおい」に「イイにおい」をかぶせる

この「イイにおい」は、先ほどから繰り返しているように、においがきつく、主張が激しいものだ。

「イイにおい」単体であれば、多少主張が激しくてもいいのかもしれない。また、「イヤなにおい」がそれほど強烈でない場合はうまく作用するのかもしれない。

しかし、「イヤなにおい」がとても強烈で「イイにおい」と「イヤなにおい」が完全にぶつかってしまったとき、独特のにおいが完成する。

インド人のにおいの構成要素
  1. くさい汗
  2. ワキガ
  3. クミンのワキガっぽい臭い
  4. たまねぎ・にんにく臭
  5. 私たちの潜在意識
  6. きつめのデオドラントスプレーの臭い

「無臭」や「いいにおい」の人ももちろんいる

もちろん、無臭の人もいる。低所得層で日常的にそれなりに汗をかいてインド料理まみれの生活をしている人でも、におわない人は殆どにおわない<のだ(さすがに少しはにおう)。体質としか言いようがない。

また、良い香り4)がする人もいる。

4:先ほどのデオドラント等とは別の、日本人が「良い香り」と感じる心地よいにおいです。

良い香りを漂わせている人達は、日常的に汗をあまりかかない生活をしている富裕層に多く、彼らが通った後の空気にも上品な香りが残っている。

安物の香水やデオドラントスプレーは鼻にツーンと突き刺さるようなきついにおいを放つが、彼らが身に付けている香水やコロンは高級品で心地の良いものばかり。においに対する意識が庶民とは異なるのだろう。

どうやって「におい」と向き合うか

においの原因について理解したところで、どのように「におい」と向き合い対処するかを考えてみよう。

短時間の場合

1時間未満の短時間であれば、我慢すべきだ。

本人はもちろん、周りのインド人もその独特なにおいに慣れているため、自分だけがそのにおいに反応している可能性がきわめて高い

完全にアウェーの状態であるので、場の雰囲気を乱さぬように我慢するのが賢明な判断だ。

長時間の場合

1時間以上継続してハードなにおいを嗅ぎ続けると、体調を崩す可能性がでてくる。

冒頭に書いたとおり、私は同僚Aの強烈なスメルにより頭痛を引き起こすこともある。身近に強烈なにおいを放つ方がいる場合、日常生活に支障をきたすために事態は非常に深刻である。

マスクの着用

最も手っ取り早い解決策がマスクの着用だ。1枚で足りなければ2枚、2枚で足りなければ3枚着用すれば、基本的には大丈夫。

海外あるあるだが、マスクを着用している=「ガチでやばめの病気を患っている」と思われる可能性があるので、

エアコンが強くてちょっと喉がやられちゃって… へへへ

と言い訳すれば、誰も傷つけずに済む重要)。

わたしは安いマスクを重ねて防備している。マスク1枚でにおいを防げないこともある。

スース―するにおいで対抗

鼻の下に落ち着く香りがするものを塗るのも結構効果があったりする。メンソール系のスース―するにおい<が使いやすい。この状態でマスクを着用すると効果は抜群<だ。

リップを使用するのが手軽でいいと思う。

スースーしたにおいでリラックスもできて一石二鳥!(?) かもしれない。

お土産として日本のデオドラント剤をプレゼント

インドでは、外国のアイテム(=輸入商品)は高価で、庶民には手の届かない高級品<だ。

「じゃじゃ~ん!日本からのお土産です!日本で今ハヤっているんです!ぜひ使ってみてくださいね!」

と渡せば不信感も抱かれず、外国のモノをもらえたと大喜びしてくれるだろう。

デオナチュレみたいなデオドラント剤はインドにないんだよね~。

さいごに

インド人の独特のにおいは様々な構成要素から複雑に成り立っているということがわかった。

インド人のにおいの構成要素
  1. くさい汗
  2. ワキガ
  3. クミンのワキガっぽい臭い
  4. たまねぎ・にんにく臭
  5. 私たちの潜在意識
  6. きつめのデオドラントスプレーのにおい

おそらく、同僚Aには全てがあてはまるのだと思う。でなければ、あんなにおいを放てるわけがn(ry・・

私もよくインド料理を食べるため、独特のにおいを放っているのではないかと心配しているが、同僚Aが放つ独特の香りに参っているということは、自分からはまだそのにおいが放たれていないという証しだと信じたい。

これからは同僚Aのスメルをインディケーターとしながら、自分のにおいについてもしっかりと向かい合い、無臭人間でありつづけたい。