(※本記事は旧ブログに2021年3月に掲載したものを再掲しています。)
ナマステ、インド在住のKome(@chankomeppy)です。
1か月前に日本からインドに戻ってきてから2週間ほど、ベジタリアン生活を送ってみたのでそのお話。
ついでにインドのベジタリアン事情についても知っている範囲でまとめてみたよ。
▼目次はこちら (クリックして表示)
そもそもベジタリアンとは
ベジタリアンと聞いてどのような人を思い浮かべるか?
肉や魚を食べない人たち?
動物由来のものを何も食べない人たち?
野菜しか食べない人たち?
ベジタリアンには様々な種類があるが、一般的に「菜食主義者」の総称として用いられる。
欧米や日本などの先進国では健康を目的にベジタリアンを実践している人が多いように思うが、ここインドでは宗教的な理由でベジタリアンであることがほとんど。
インドのベジタリアン
インドの人口の約8割を占めるヒンドゥー教徒たちは牛肉を食べない(牛はシヴァ神の乗り物であり神聖であるとされる)ことに始まり、普段は牛肉以外のお肉や魚を食べる人たちも特定の曜日には肉や魚、卵を控える傾向にある。
例えば、火曜日は象のガネーシャ神や猿のハヌマーン神(動物の姿をした神様)に祈りを捧げる日であるので、火曜日は動物不殺生のためにベジタリアンとなったりファスティング(断食、ただし果物やサブダナなど軽い食事は摂る)をしたりする人が多い。
木曜日は最高神のひとりであるヴィシュヌ神や、数々の奇跡を起こした聖人サイババ(シルディのサイババ)に祈りを捧げる日。サイババさんの出身地がマハラシュトラ州のシルディであることもあり、私が住むムンバイには彼の信者が多く、サイババ信者たちはこの日ベジタリアンとなる。
こうした曜日限定ベジタリアンには統一したルールがあるわけではなく、地域やご家庭によってその習慣は多種多様。私はムンバイのベジタリアン事情しか存じ上げないのでここで説明したことがインド全土で適用されるわけではない点にはご留意いただきたい。
曜日限定ベジタリアンがいる一方で、365日毎日ベジタリアンというピュアベジタリアンもいる。
紀元前から伝わるヴェーダの教え(ヒンドゥー教の前身・バラモン教)では、アヒンサ―(非暴力・不殺生)という考えがあり、厳格なヒンドゥー教徒(バラモン階級の人たちに多いような気がする)は肉・魚・卵を一切食べない。
さらに、バラモン教から派生して成立したジャイナ教ではアヒンサ―を重要視しており、肉・魚・卵にとどまらず生きとし生けるものすべて(昆虫や植物を含む)の不殺生が徹底されているために口に入れることができるものは一部の葉野菜と果物、豆、穀物、ナッツ、乳製品など、非常に限定的だ。
- 土から掘り起こすもの(芋や玉ねぎ、ニンジン等の根菜)
…土の中の虫を殺してしまう&根っこから引き抜くことで植物の命を奪うのでNG - 葉っぱの間に虫が挟まっている可能性のあるもの(キャベツやカリフラワー)
…調理中に虫を殺してしまったり間違って食べてしまったりする可能性があるのでNG - たくさん種のあるもの(ナスやグアヴァ等)
…野菜や果物の種からの繁殖を防ぐことになるためNG - 蜂蜜
…ミツバチの食事を奪い死をもたらすことになるためNG - アルコール類
…発酵の過程で多くの微生物を殺すためNG
自分自身が生きることが一番重要なので必要最低限の殺生は許されるとのことだが、この必要最低限の基準は信仰の度合いや各ご家庭によって異なるらしい。
ムンバイはジャイナ教徒が多い都市なので、ジャイナ教徒向けの食事のみを提供する店もチラホラ見かける。(私は入ったことないけどネ)
インドはベジタリアンが生活しやすい環境
インドにはベジタリアンが多いことから、ベジタリアンが生活しやすい環境が整っている。
例えば、インドで生活していると必ず目にするこのマーク。食品のパッケージなどで見かける。
日本の国旗のようにも見えるが、実はこれ「ベジタリアン」「ノンベジタリアン」を表すマークで、一目でベジタリアン向けなのかノンベジタリアン向けなのかを判別することができる。
食品だけでなく、歯磨き粉や保湿クリームなど口に入る可能性があるものにもこのマークがついている。
調味料やパン、お菓子などは卵や肉・魚介類のエキス・出汁を使っていないものが多く、非常にベジタリアンフレンドリーである。
レストランのメニューも、ベジタリアンとノンベジタリアンが明確に区別されており、ベジタリアン料理しか提供しないPure Veg Restaurantもある。
ベジタリアンメニューのバラエティがかなり豊富なので、草しか食べられない!という事態に陥ることはまずない。
フードデリバリーアプリのZomatoでは、ベジタリアンやエッグタリアン(肉・魚は食べないが卵は食べるというベジタリアン)のフィルターがあるので、ベジタリアン料理を簡単に見つけられる。
日本でベジタリアン生活を送ろうとなるとなかなか大変だと思うが、インドでベジタリアン生活を送るのは本人の意志さえあればと~っても簡単なのだ。
追記:
ノンベジタリアンのマークが「●」から「▲」に変わった。色の識別が付かない人が、色ではなく形でベジ・ノンベジを見分けることができるように、という配慮が背景にある。
なぜベジタリアン生活をしようと思ったのか
コロナによる長期一時帰国からインドに戻ってきて、(一時的に) ベジタリアンになろうと思った理由はいくつかある。
一つ目の理由は、日本からインドに戻ってきて体調を崩したくなかったから。
肉や魚は野菜にくらべて消化に時間がかかるので便秘をもたらす可能性があるし、新鮮ではないものを食べてしまった場合お腹を壊す可能性もある。
インドに戻ってきて早々にお腹の調子を悪くするということは何としてでも避けたかった。
二つ目の理由は、食事を通じて心身ともに健康になるのか試してみたかったから。
インド哲学やヨガ、アーユルヴェーダ的な話になってしまうのだが、食事と心身の状態はリンクしている。
肉や魚といったノンベジタリアン食材は「Tamasic Food(タマシックフード)」に分類され、「Tamas(タマス)」という怠慢でだらしない心の状態をもたらし、思考や体の免疫系の機能を停滞させる。
これに対し、新鮮な野菜や果物、体への負担が少ない食事は「Sattvic Food(サトヴィックフード)」に分類され、「Sattva(サットヴァ)」という純粋で調和のとれた心の状態をもたらし、体力や免疫機能を促進させる。
肉や魚を含むタマシックフードを最小限に抑え、サトヴィックな食生活を送ることで心身にどのような変化が起こるのか。一時帰国中は実家に居候していたので実践できなかったが、インドに戻ってきたので試してみたかったのだ。
三つ目の理由は、日本で肉や魚を毎日食べていたらおならがすごく臭くなったから。
これは大 問 題www😂😂😂
実は過去にもインドでベジタリアン生活を一瞬だけ送ったことがある。
インドで手術して入院した時とヨガのワークショップ参加時に、それぞれ1週間ほどベジタリアン生活を余儀なくされたのだが(←自分の意志ではない)、このときベジタリアン飯がいかに健康的で素晴らしいのかを思い知った。便は茶色から黄色に変化し、においは一切なく、膨腹感や便秘とは無縁になり、おならも無臭になったのだ。
↑この経験があるので、ベジタリアン生活をすることで臭いおならとおさらばできるのではないかと考えた。
肉がないと生きていけないというほどの肉好きではないし、インドのベジタリアン料理も好きなので、きっと問題なくベジタリアン生活を送れるはずだ!!!
臭いおならとはおさらばしたい!!!
ベジタリアン生活1週目
ムンバイに帰ってきて初めてのご飯は屋台でベジグリルサンドイッチ。
2日目はホテルでヘルシーインド飯朝ごはん。夜ご飯は揚げ物なのでタマスティック…😅
3日目は果物と野菜をたくさん摂取!インドはフルーツが美味しいね。南国最高!
4日目も引き続き果物をもりもりといただく。夜はハイティーで済ます。
この日あたりから便に変化あり💩
体内が浄化されているのを実感…!!!✨
5日目も果物と野菜が中心。だんだん飽きてきた😂
果物をたくさん摂取しているからだろうか、肌の調子が明らかに良くなっている。
6日目は夜に外食したらついついノンベジに手をだしてしまった。
1日目からやり直し、リセット―
- 赤ちゃんのような便が出るようになった。
- 肌の調子が良くなった。
ベジタリアン生活2週目
1日目は軽食にタマスティック… 大好きなサモサをば。飽きないようにインド飯を自炊。この日はカダイパニール。
2日目は西インドの朝ごはんの定番カンダポハ、そしてビンディ(オクラ)マサラとウンドューというグジャラートの冬のスペシャリティを。
旬のイチゴもいただく。調子こいてデトックスウォーターを作り始めるw
3日目はフルーツもりもり、野菜もりもり。夜ご飯はパプリ(平たいインドの豆)の炒め物とサラダを。
インド料理を作るのに油やニンニク、スパイスを使うからだろうか、便かだんだん元通りになってきたような気がした😂 赤ちゃんの便はいずこに~!笑笑
便秘の「べ」の字も感じないほどの快便は引き続き継続。
4日目はインド料理から少し離れてみたw インドイタリアンでごわす🍝🍕
5日目もインド料理から離れようと思ったが、豆不足を感じ夜ごはんはチャなマサラ。結局インド料理…
うまい、うまい、うまい~~~~!
どうしてインド料理はこんなに美味しいのだろうか。
6日目はチャナ(ひよこ豆)とムングダル(緑豆)をいただいた。豆の日だ~~~!豆はベジタリアンにとって重要なたんぱく質の摂取源である。
ちなみに、昼食のチャナマサラは前日の夕食の残り物であるが、一晩おいた食事はたとえそれがもともとサトヴィックだったとしても、一晩おいたことで新鮮ではないという理由でタマシックになるので避けるべきとされている。 一人暮らしだからそこんところ難しい。
7日目は昼に外食したところ、やっぱりノンベジに手を出してしまった。外食が最大の難関…
- 油やスパイス、ニンニクを使うようになったら赤ちゃん便が出なくなった👶💦
- おならは臭くない。
- 便秘とは無縁で超快便。
- 肌の調子も良い状態で継続。
- 食べることが楽しい。
- 自炊でベジタリアンを続けるのは苦ではない
- 外食時はノンベジ食べたい
わたしの結論
日本で毎日肉や魚を食べていた時に比べ、ベジタリアン生活中は圧倒的に体内が綺麗に保たれているように感じた。
おならは臭くないし、便秘もないし、できることならベジタリアン生活を続けたい。
とは言っても、私は超スーパーピュアノンベジタリアンカントリーの日本で生まれ育ったので肉や魚のおいしさを知っており、ノンベジを放棄することもできない。毎日食べたいとは思わないが、時々お肉やお魚を食べたい。
ベジタリアン料理を自炊するのはまったく苦ではない。野菜だけのほうが調理が簡単だし、なによりもインドで新鮮な肉や魚を手に入れるためには肉屋や魚市場に足を運ばないといけないのが面倒。手間暇を考えると自炊はベジタリアン食材だけで十分。(スーパーで売られているものは主に冷凍なのであまり使いたくない)
しかし、出汁や魚のエキスさえも使えないのは困る。和食・日本食を食べたい日だってある。めんつゆが使えないとうどんやそうめんさえも美味しくいただけない。ノンベジ扱いの日本の調味料は使いたい。
また、タンパク質摂取を豆だけに頼るのもつらい。せめて卵もタンパク質の摂取源としたい。
以上を踏まえた結果たどりついた結論は、
👉 外食時はノンベジOK
👉 自炊は基本ベジ
👉 魚のエキス・出汁はOK
👉 卵もOK
結局のところ、曜日限定ベジタリアンくらいの気軽さで取り組むのがよいんだろうなぁ。フレキシブルなヒンドゥー教徒の皆さんに学ぶことは多い。
自分が辛くない範囲で(←重要)、サトヴィックな食事を心がけ、心と体の健康を維持しよう。
というわけで、私のゆるゆるエセベジタリアン生活は続く…w😂